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東京高等裁判所 昭和27年(ネ)568号 判決

控訴人 菅原利三郎

被控訴人 岩田清作

主文

原判決を左のとおり変更する。

被控訴人は控訴人に対して金三十五万六千百六十六円及びこれに対する昭和二十八年八月三十日以降右完済に至るまで年五分の割合による金員を支払うべし。

控訴人のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は第一、二審を通じてこれを五分しその一を控訴人の負担としその余を被控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は「原判決を取り消す。被控訴人は控訴人に対して金五十八万三千七百五十七円及びこれに対する昭和二十六年十月十一日以降右完済に至るまで年五分の割合による金員を支払うべし。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張は、控訴代理人において、(一)仮に本件荷繩の売買契約が被控訴人主張の如く統制法規に違反し無効であるとすれば、控訴人が被控訴人に引き渡した荷繩の所有権は控訴人にあるから、控訴人は所有権に基いて被控訴人に対してその返還を求め得るのであるが、被控訴人は本件荷繩を既に使用してその返還は不能であるから、その返還に代えて本件取引当時における本件荷繩の代金に相当する金額を損害賠償として請求するものである(予備的請求)。(二)仮に本件荷繩売買契約が統制法規に違反したとしても民法第七百八条にいう不法原因給付には当らない。同条に所謂不法原因給付というのは法律行為の内容自体が社会通念上公序良俗に反するものとして容認できないものを指すのであつて、荷繩の取引のように本来売買そのものは何等公序良俗に反するものでないばかりでなく、社会生活上必要欠くべからざるものである関係上一時統制されたものでもない。仮に本件荷繩の取引が民法第七百八条にいう不法原因給付であるとするも、被控訴人は控訴人の小学校時代の先生であつて、師弟の情誼から取引の申込をすれば当然拒絶できないことを知つて、申込をなし、かつ、訴外中沢誠作も被控訴人も藁工品移出商という名刺を所持して控訴人をして集荷人の資格あるものと誤信せしめて取引した本件の如き場合は、同条但書にいう不法の原因が受益者である被控訴人についてのみ存する場合であるので、被控訴人は返還義務がある。(三)本件物件は控訴人の工場で被控訴人に引き渡した上、改めて、被控訴人の依頼によつて輸送しその運賃を立て替えて支払つたものである。(四)その輸送については日本通運株式会社の発送主任曽我浅一の指示によつて適法な輸送方法をとつたものであるから、仮に本件売買が無効であつても、立替運賃の請求に支障を来すものではない。従つて、若し本件の繩の運送について違法があるとすればその原因は被控訴人にある。(五)本件代金に運賃が含まれていることは否認する。(六)被控訴人の消滅時効に関する抗弁は認めない。控訴人は本件売買後昭和二十六年八月三十日本訴を提起するまで殆ど、毎月被控訴人に対して本件繩代金の支払を請求したのに対して被控訴人はその都度本件債務を承認したから時効はその都度中断されて未だ完成しないのである。と述べ、被控訴代理人において、(一)被控訴人が現在本件荷繩を所持していないことは認める。(二)控訴人が本件荷繩の運賃を立て替えたことは否認する。(三)本件売掛代金の請求を物品返還に代える損害賠償の請求に変更することは請求の基礎を変更するものであるから、民事訴訟法第二百三十二条によりその変更は許されない。(四)仮に然らずとするも、本件荷繩の売買は統制法規に違反する所謂闇取引であるから、該物品は不法原因のため給付したものであり、従つて控訴人はその返還を請求することはできないから、その返還に代えた損害賠償の請求は失当である。(五)本件荷繩の運送賃は売買代金のうちに含まれているから、被控訴人がその運送を別に依頼し控訴人がその運賃を立て替える筈はない。従つて運賃の請求は失当である。(六)仮に然らずとするも、本件荷繩の運送に関する契約は本件売買契約に従たる契約であるから、主たる契約の売買契約が無効である以上、従たる運送に関する契約は主たる契約と運命を共にし、無効であつて、控訴人は運送賃を請求する権利はない。(七)仮に然らずとするも、当時本件荷繩を輸送するについては、藁工品購入予約券等該物品が正規の取引にかかるものであることの証明資料を添えて鉄道当局に運送を申し込み、これが確認を受けて始めて輸送し得られたに拘らず、本件物品の輸送は右の如き正規の手続をふまないでなされたものであるから、所謂闇輸送であつて、該運送に関する契約は無効である。従つて、控訴人が運送賃を立て替えて支払つたとしてもその償還を請求し得ないものである。(八)右の主張が容れられないとするも控訴人の本件請求は民法第百七十三条第一号所定の時効によつて昭和二十四年一月一日から二年を経過した昭和二十五年十二月三十一日限り消滅したものである。なお運送賃の請求権についても、その時効は主たる取引の時効によるべきものである。(九)控訴人主張の債務承認の事実は否認する。と述べた外、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

〈証拠省略〉

理由

一、まず本件荷繩売買契約の成立の有無並びにその効力について考える。

(一)  原審並びに当審(第一回)における控訴人本人尋問の結果により成立を認める甲第一号証、第二号証の各一、二、原審証人羽賀輝雄、当審証人畠山元蔵、渡辺仁晴の各証言、並びに原審及び当審(第一回、第二回)における控訴人本人尋問の結果を綜合すると、控訴人は訴外中沢誠作に対して昭和二十三年五月二十日から同年六月三十日までの間に中荷繩合計六百二十五本を代金合計二十七万六千八百七十五円(単価四百四十三円)にて売り渡したところ、同人右取引代金のうち金十二万円を支払つたのみで、その余の金十五万六千八百七十五円を支払わなかつたので、被控訴人は昭和二十三年七月十七日右金員のうち金二万円を支払い残金十三万六千八百七十五円について同日重畳的に右訴外人の代金債務を引き受け、かつ、爾後、被控訴人自ら控訴人と荷繩の取引をすることになつたので、控訴人は被控訴人に同年七月二十一日から同年八月十二日までの間に控訴人主張の如く中荷繩合計九百六十二本を代金合計金四十六万一千七百六十円(単価四百八十円)にて売り渡しいずれもその引渡を了したところ、被控訴人はその代金のうち金七万円を弁済したのみで、その余の支払をしないことが認められる。

被控訴人は、控訴人主張の売買はすべて控訴人と前記中沢誠作との間の取引であつて、被控訴人は控訴人から荷繩を買い受けたこともなく、また中沢誠作の債務を引き受けたこともないと主張し、当審証人中沢誠作(第一回、第二回)、曽我浅一、被控訴人本人(原審並びに当審)は、いずれも右主張事実に副う供述をしているけれども、右各供述は前掲各証拠に徴して措信し難く、他に右認定を覆し、被控訴人の主張事実を明認するに足る証拠はない。

(二)  被控訴人は、前示各売買契約は当時施行されていた物資統制法令の規定に違反して無効であると主張するので、この点について考える。

被控訴人が指摘する臨時物資需給調整法に基く昭和二十三年九月二十日農林省令第七五号農産品配給規則によると、藁工品の生産者は登録卸売業者又は卸売業者のために集荷する集荷人以外の者には、藁工品を売却してはならないことを規定している(指定配給物資配給手続規程には藁工品を配給物資と指定している)。

ところで、当審証人中沢誠作の証言(第一回)原審並びに当審(第一回)における控訴人本人尋問の結果によると、控訴人は藁工品の生産者であるが、本件の荷繩を買い受けた中沢誠作及び被控訴人は臨時物資需給調整法に基く農産品配給規則指定の登録卸売業者又は集荷人でもなく、また、控訴人は本件取引に際し法定の除外事由がないのにこれ等の者に法定の手続を経ないで本件の荷繩を売り渡したものであることが認められ、本件取引の荷繩が故藁工品でないことは弁論の全趣旨に徴して当事者間に争いがない。

従つて、本件売買契約(前段認定の如く、控訴人と中沢誠作との間及び控訴人と被控訴人との間)は農産品配給規則に違反する取引である。そして、右の農産品配給規則は当時の物資の円滑な需給をはかり以つて国民生活の安定を期したものであるから、強行法規と解すべきであつて、これに違反した本件売買契約はいずれも法律上無効と解すべきである。そうだとすると、被控訴人が控訴人と中沢誠作間の売買契約に基いて中沢誠作の負担する債務の引受をしても、その基本たる売買契約が無効である以上、被控訴人の債務引受の効力を生ずることはないから、被控訴人は控訴人と中沢誠作との間の取引について債務引受による責任はないのは勿論、控訴人と被控訴人との間の本件荷繩の売買契約についても、被控訴人が右売買契約上の債務を負担するいわれはない。控訴人は、前記の統制法規は昭和二十六年二月十日廃止されたから、その後になつて、該統制法規違反を理由に本件契約の無効を主張することはできないと主張する。該法規が廃止されたことは当裁判所に顕著であるけれども、該法規によつて一旦無効であつた行為が該法規が廃止されたことにより当初に遡つて当然有効となるものとは解せられないから控訴人の右主張は採用できない。

従つて、被控訴人は、控訴人が中沢誠作に売り渡した荷繩の売買代金については債務引受による右代金支払の責任はないとともに、被控訴人が控訴人から買い受けた前記荷繩の取引についてもその代金を支払うべき義務はないわけである。

(三)  従つて控訴人が本件売買契約が有効に成立したことを前提として(イ)控訴人と右中沢誠作との間の売買について被控訴人の債務引受に基く代金の支払を請求し、また(ロ)控訴人と被控訴人との売買に基いてその代金の支払を求める請求は失当である。

二、次に控訴人は、予備的に、本件荷繩の売買契約は無効であつて、右売買契約に基く代金支払の請求が理由ないとすれば、右売買契約が無効である以上、本件荷繩の所有権は依然として控訴人に存するから、被控訴人は控訴人に対して本件荷繩を返還すべき義務があるところ、被控訴人はこれを処分して現在所持していないから、その返還に代えて右荷繩の売買当時における代金相当額の損害賠償を求めると主張するので、この点について考える。

(一)  被控訴人は、控訴人の右主張は請求の基礎に変更があるから許されないと主張するので、この点について判断する。

控訴人は、さきに請求原因として、本件売買契約に基く代金の支払を請求したのであるが、本件取引が法律上無効となる場合を慮り、予備的に若し無効であるならば、買主は売買の目的物を返還する義務があるが、売買の目的物を買主が所持していないので、その返還に代えて本件物件の売買当時の時価に相当する金額の賠償を求めるというのであつて、いずれの請求も本件売買を前提とした請求であるから、新な請求は従来の請求の基礎に変更はなく、しかもこのため著しく訴訟手続を遅滞せしめるものとは認めがたいから、被控訴人の主張は理由がない。

(二)  ところで、売買契約が無効となつたときは他に特段の事由のない限り、その目的物件の所有権は買主に移転することなく、依然として売主に帰属するものと解すべきであるから、売買物件は買主から売主に対して返還せらるべきものであり、もし、該物件が現存しないときはその返還に代えてこれが損害賠償をなすべきものである。然るに、この点について被控訴人は本件売買契約は公序良俗に反するものであるから、その給付は民法第七百八条にいう不法原因に基くものであつて、控訴人はその返還ないし、その損害賠償の請求をすることができないと主張する。よつて、この点について考える。

本件取引が農産品配給規則に違反し、無効であることは叙上説明のとおりであるが、かゝる統制法規に違反した売買契約に基く給付が、直ちに民法第七百八条にいう不法原因のための給付とは即断できないのであつて、それが不法原因によるものかどうかは、その行為の実質によつて決定しなければならないものと考える。

元来統制法規によつてある種の行為が禁止されたのは、必ずしもその行為自体が反道徳的、反社会的であるという理由からではなく、特殊な社会的、経済的要請から従来自由取引に委せられていたある行為を特に一時的に禁止するに至つたものである場合もあるから、統制法規に違反する行為による給付が民法第七百八条にいう不法の原因のためにせられたものかどうかを判断するに当つては、その統制違反の取引が当時の国民生活並びに国民感情にいかなる影響を与えるかを考慮の上決定しなければならないものと考えられる。ところで、本件売買の目的物は藁工品であるが、藁工品は米麦等の主食品のように当時においても国民生活必需物資ではなく、統制違反の事実によつて、直接直ちに国民の生活に重大な脅威を与えるものではなくまた国民感情に大きな悪影響を及ぼすものでもないから、藁工品の統制違反は統制当時の社会情勢においても反道徳的な醜悪な行為としてひんしゆくすべき程の反社会性を有する違反行為には該当しないと考えられる、従つて、本件の取引は統制法規に違反し無効ではあるが該取引に基いて給付したものか不法原因によるものとしてその返還を請求することができないものではない。従つて被控訴人は前段の説明によつて明かなように依然として所有権を有する控訴人に対して本件荷繩(その数量については後段の説示参照)を返還する義務がある。ところで右物件は被控訴人において他に処分し現在その手裡に存しないため、これを返還することができないことは被控訴人の認めるところであつて、その返還不能は、前段各認定の事実及び弁論の全趣旨から考えると、被控訴人の責に帰すべき事由によるものと認めるのが相当であるから、被控訴人はその返還義務の履行不能によつて生じた損害の賠償義務があるものとする。ところで控訴人の主張する本件売買のうち、控訴人と訴外中沢誠作との間の取引については、被控訴人は単にその債務について債務引受をなしたものにとどまり、もとより被控訴人が売買契約に基いて直接その荷繩の引渡を受けたものではないから、被控訴人にはその返還義務はなく、従つてこれに代えた損害賠償の責任のないことは勿論であつて、被控訴人としては、ただ控訴人から直接買い受けた前記中荷繩九百六十二本について未だ弁済のない部分についてのみ損害賠償の責があるものとする。

(三)  よつてその損害額について考える。前記荷繩の返還不能によつて控訴人の被つた損害は、結局右荷繩の価格に外ならないものであつて、その数額は、他の反証のない限り、売買当時における右荷繩の時価に相当するものと認めるのが相当である。そして当審における控訴人本人尋問(第一回、第二回)の結果によると、控訴人は当時藁工品の生産者で卸売業の認可を受けていたものであるから、右物件の時価というのは結局売買当時における卸売公定価格に外ならないものと解すべきである。ところで当審における控訴人本人尋問(第二回)の結果によると、前記売買代金(被控訴人に売り渡した分)は当時における卸売公定価格に小運搬賃と貨車積込手数料とを加えた金額であることが認められるから、右売買代金から小運搬賃及び貨車積込手数料を控除した金額が当時における卸売公定価格となるわけである。よつて前記荷繩の当時における卸売公定価額について考える。当審(第二回)における控訴人本人の「売買価格はいずれも卸売公定価格であるが、被控訴人の分が高くなつているのは、卸売公定価格に小運搬賃及び貨車積込手数料が加えられているためである。」旨の供述と、前段認定のように、(イ)昭和二十三年七月二十一日から同年八月十二日までの間に被控訴人に売り渡された本件中荷繩の売買代金は一本につき単価金四百五十円であることに対して、(ロ)これより数ケ月前すなわち同年五月二十日から同年六月三十日までの間において前記中沢誠作に売り渡された中荷繩の売買代金が一本につき単価金四百四十三円であつたことを比照して考えると、他に的確な反証のない限り、前記中荷繩の売買当時における卸売公定価格は、中沢誠作との間における売買代金、すなわち一本につき単価金四百四十三円であると認定することが相当である。この点に関する原審における控訴人本人の供述は採用しない。

結局被控訴人と控訴人との間における売買によつて被控訴人に引き渡された中荷繩合計九百六十二本の卸売公定価格は、合計金四十二万六千百六十六円となるわけであるから、控訴人としては右売買物件の返還不能によつて前記金額に相当する損害を受けたことになるが、そのうち金七万円については既に売買代金の一部弁済として被控訴人から支払を受けたことは、前段において説明したとおりであるから、控訴人はその限度において実質的に損害の填補を受けたことに帰するので、結局控訴人の被つた損害は、右一部弁済金を控除した金三十五万六千百六十六円となる。

(四)  しからば被控訴人は控訴人に対して金三十五万六千百六十六円を損害賠償として支払うべき義務があるものといわなければならない。

(五)  なお被控訴人は、民法第百七十三条の規定による消滅時効の抗弁を援用しているが、弁論の全趣旨(昭和二十八年五月二日附被控訴人提出の準備書面参照)によると、右はもつぱら本件売買契約に基く代金請求権に関するものであつて、本件損害賠償請求権について云為するものではない。のみならず右損害賠償請求権が時効によつて消滅したものと認むべき事由は存しない。従つて右消滅時効の抗弁は本件損害賠償請求権を認容するについて何等の妨げとならない。

三、次に立替運送賃の請求について判断する。

控訴人は、本件売買契約が無効であるとしても、運賃の立替をも無効ならしむる理由はないから、控訴人が被控訴人のため立替えた運賃合計金五万五千百二十二円については、被控訴人にその支払義務があると主張する。しかしながら弁論の全趣旨によると、控訴人の主張する立替運賃なるものは、本件売買契約によつて被控訴人に売り渡した荷繩を被控訴人の指図に従い指定地に輸送するに当つて、被控訴人の依頼によつて、控訴人が立て替え支払つた運賃を指すものであるが、売買に伴う運賃に関する約定は、売買契約に従属する契約であるから、主たる契約たる売買が無効である以上、従たる契約である運賃に関する約定もまた主たる契約たる売買とその運命を共にすべきものである。のみならず右運賃に関する約定は、結局において統制法規に違反する売買の目的実現に参与し、これを助長せしめる関係に立つものである。従つて右運賃の立替に関する約定は無効であるといわなければならない。なお控訴人は、本件荷繩は控訴人の工場で一旦被控訴人に引き渡し売買契約の履行を完了した後、改めて被控訴人の依頼により輸送しその運賃を立て替えて支払つたものであると主張するけれども、かような事実を明認するに足る的確な証拠はない。

従つて控訴人が被控訴人に対して前示立替運賃の支払を求める本訴請求は失当である。

四、しからば、被控訴人は控訴人に対して金三十五万六千百六十六円及びこれに対する昭和二十八年八月三十日以降右完済に至るまで年五分の割合による損害金(控訴人はさきに売掛代金として請求したのを昭和二十八年八月二十九日午前十時の本件口頭弁論期日において損害賠償の請求に変更し被控訴人に対してその支払を求めたものであるから、右損害賠償について被控訴人はその翌日以降履行遅滞の責があるものとする)を支払うべき義務がある。従つてその範囲内において控訴人の本訴請求は正当であるからこれを認容し、その余は失当であるからこれを棄却すべきものとする。よつて控訴人の請求を全部排斥した原判決を叙上の限度において変更するものとし、民事訴訟法第九十六条第九十二条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 浜田潔夫 仁井田秀穂 伊藤顕信)

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